改正個人情報保護法に関連する政令・規則案

改正個人情報保護法に関連する政令・規則案

2021年2月17日

毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。当記事で取り上げるのは以下の配信です。

  • 配信日:2021年1月7日
  • タイトル: 2020年改正個人情報保護法に関連する政令・規則案
  • 発表者:データサイン 代表取締役社長 太田祐一

2020年改正個人情報保護法に関連する政令・規則案へのパブコメ

個人情報保護委員会は、2020年6月に公布された「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」(改正個人情報保護法)に関連する、政令案と規則案についてパブリック・コメントを募集しました。これらの改正案ではどのような追加や変更がなされているのでしょうか。データサイン 代表取締役社長 太田祐一がランチタイムトークの話題で取り上げました。

こちらの意見募集情報は2020年12月25日から2021年1月25日までの1カ月間、「e-Govパブリック・コメント」サイトに掲載されました。意見対象となる文書(命令)は「個人情報の保護に関する法律施行令及び個人情報保護委員会事務局組織令の一部を改正する政令(案)」と「個人情報の保護に関する法律施行規則の一部を改正する規則(案)」の2つです。

「法律は国会で制定され、政令(施行令など)は内閣、省令(施行規則など)は各省庁の大臣によってそれぞれ制定されます。今回の意見募集で掲示されたのは、改正個人情報保護法に関する政令と施行規則の改正案になります」(太田)

改正個人情報保護法の施行は、公布の日から起算して2年以内です(すでに法定刑の引き上げなど一部は2020年12月から施行されています)。政府は、改正法の円滑な施行に向けて関係する政令・規則・ガイドライン等の整備と周知広報に取り組んでいて、今回のパブコメもそちらの一環になります。

個人データの安全管理のために講じた措置をプラポリに追加しましょう

政令改正案(7ページ)の末尾をみると、本改正の理由が記されています。それによると(改正個人情報保護法の施行に伴って)「仮名加工情報データベース等、個人関連情報データベース等及び第三者提供記録の範囲等について定めるとともに、個人情報保護委員会の事務局に置かれる参事官の職務を変更する必要があるから」となっています。

理由部分に記された仮名加工情報とは、2020年改正の個人情報保護法に新たに盛り込まれたもので、他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように加工された個人に関する情報(個人データ)を指します。

仮名加工情報に類似するものとして匿名加工情報がありますが、こちらは特定の個人を識別することができず、加工元の個人情報を復元することができないように加工された個人データの名称です(したがって他のデータとの照合ができません)。匿名加工情報の条項は、2015年改正(2017年施行)の改正個人情報保護法で加えられました。

他方、個人関連情報は2020年改正の改正個人情報保護法で新たに加えられたもので、「提供元では個人データに該当しないものの、提供先において個人データとなることが想定される情報」です。2019年に起きたリクナビ内定辞退率問題を背景に強化された規制対象です。

「政令案には、個人情報取扱事業者が保有するこれら個人データに関する規定が追記されました。すなわち、本人への公表事項(プライバシーポリシー)に記す「『保有個人データの適正な取扱いの確保に関し必要な事項』において、安全管理のために講じた措置についても支障のない範囲で記しましょう、という内容です」(太田)

情報開示請求の対象とならない「仮名加工情報」の加工基準も追記

個人情報保護法では、上述の個人関連情報について、「提供先において個人データとなることが想定される情報」の第三者提供について、本人同意が得られていること等の確認を提供元に義務付けています。

「施行規則案では、個人関連情報の第三者提供を行う際の確認(第18条の2)について、『個人関連情報の提供を受ける第三者から申告を受ける方法その他適切な方法とする』とあります。ただし具体的な確認方法について政令案では細かく言及されていません。今後公表が予定されるガイドラインなどをウォッチする必要がありそうです」(太田)

施行規則案ではまた、仮名加工情報の作成の方法に関する基準(第18条の7)が追記されています。

「仮名加工情報の加工基準としては、特定の個人を識別できる氏名や住所といった記述、旅券番号や国民健康保険番号、ゲノムデータなどの個人識別符号、またクレジットカード番号など財産的被害が生じるおそれのある記述等の削除、置換が求められています。このような仮名加工情報は、情報開示請求の対象になりません。組織内で利用するAIの教師データなどに利用する場合は、個人情報など機微なデータよりもプライバシーに配慮されているので、扱いやすいのではないかと考えています」(太田)

個人情報保護委員会のサイトによると、今回のパブコメで募集された意見を反映した政令と規則は、2021年3月頃に正式発表される見通しです。

ところで太田が常務理事を務める一般社団法人MyData Japanでは、公共政策委員会を中心に、プライバシー関連のパブコメを提出するコミュニティ活動を推進しています。弁護士など法務の専門家を交えたSlackのチャンネルやWeb会議を通じて政府への提言を練ったり、有益な情報に触れられたりするよいチャンスです。皆さんもMyData Japanへの参加をぜひご検討くださいませ。

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