総務省プラットフォームサービスに関する研究会での最近の議論

総務省プラットフォームサービスに関する研究会での最近の議論

2024年4月19日

毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。当記事で取り上げるのは以下の配信です。

  • 配信日:2023年9月28日
  • タイトル:総務省プラットフォームサービスに関する研究会での最近の議論
  • メインスピーカー:データサイン 代表取締役社長 太田祐一
  • MC:ビジネスディベロッパー 宮崎洋史

グーグル、メタ、ヤフーの3社にヒアリングを実施

総務省「プラットフォームサービスに関する研究会」は、2023年9月19日開催の第47回会合でヤフー株式会社(ヤフー)に、翌週9月26日開催の第48回会合でGoogle LLC(グーグル)とMeta Platforms, Inc(メタ)の2社にヒアリングを実施しました。

背景にあるのは、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」(以下、透明化法)です。今回のヒアリングは同法に基づく、デジタル広告分野でのパーソナルデータの取扱いに関するモニタリングに位置づけられます。本会合には外部有識者の1人としてデータサイン 代表取締役社長の太田祐一も参加しました。

ランチタイムトークでは、本会合の概要をご紹介しつつ、プラットフォーマーによるデータ利用とその論点を整理しました。

パーソナルデータの取扱いをモニタリング

透明化法の規制対象となる事業者として2022年10月に、グーグル、メタ、ヤフーの3社が指定されました。いずれも自社の検索サービスやポータルサイト、SNSなどに、主としてオークション方式で決定された広告主の広告を掲載する「メディア一体型広告デジタルプラットフォーム」の運営事業者として、です。

グーグルはさらに、広告主と、その広告を掲載するウェブサイト等運営者(媒体主)の間を、主にオークション方式で仲介する「広告仲介型デジタルプラットフォーム」の運営事業者にも指定されています。

透明化法ではデジタル広告市場における透明性、データ囲い込みの懸念、利益相反・自社優遇の懸念、手続きの公正性等、パーソナルデータの5点についてモニタリングを実施することになっています。今回のヒアリングでは、パーソナルデータの取扱いに関して、利用者情報の取扱いの状況などを各社に質問し、会合の場で回答と質疑応答が実施されました。

なお、透明化法に基づくモニタリングの実施は経済産業省の所管ですが、パーソナルデータについては、2022年度に実施された総務省の「電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドライン」に沿って確認することになっています。このモニタリングの議事録は総務省のサイトに公開されています(第47回研究会第48回研究会)。

サービス登録者以外のユーザーに対する説明や選択肢はどこ?

「さまざまなサイトに埋め込まれたプラットフォーマーのソーシャルボタンや広告関連の計測ツールは、デジタル広告に触れるユーザーの属性や行動履歴などを収集する大規模なデータ収集装置あるいはセンサーとして機能します。収集されるパーソナルデータの提供主体は、次のようなタイプに大別できます」(太田)

  • 当該プラットフォーマーのアカウントを持つサービス登録者で、当該サービスにログインしている人
  • 当該プラットフォーマーのアカウントを持つサービス登録者で、当該サービスにログインしていない人
  • アカウントを持っていないが、プラットフォーマーのサービスを利用している人
  • アカウントを持っておらず、プラットフォーマーのサービスを利用していない人

「プラットフォーマー各社はアカウントを持つサービス登録者に対しては、たとえば収集データをグループ企業とデータ連携することや、パーソナライズ化された広告表示についての承諾、拒否についての選択肢を用意する、といった対応がうかがえます。一方、サービス登録者ではない利用者がアクセスした場合には、そもそもそうした説明や選択肢が十分に用意されていないのが現状です」(太田)

サービス登録者であっても、登録時に行った包括的同意のあり方やその効力の範囲、再確認の対応については議論の余地があると太田は指摘します。

「それらの論点を整理して、どのように具体的な対応を各社が進めていくか。モニタリングを継続する中で今後も議論が必要になりそうです」(太田)

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