リクルートのプライバシーセンターと新プライバシーポリシー

リクルートのプライバシーセンターと新プライバシーポリシー

2021年3月26日

毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。当記事で取り上げるのは以下の配信です。

  • 配信日:2021年3月4日 
  • タイトル: リクルートのプライバシーセンター&新プライバシーポリシー
  • 発表者:データサイン 代表取締役社長 太田祐一

「パーソナルデータがどのように使われているのか」をわかりやすく説明

リクナビ内定辞退率問題の渦中にあったリクルートから2021年2月16日、「プライバシーセンター」公開のニュースが発表されました。併せて同社では2021年4月1日よりプライバシーポリシーを改定することを発表。データサイン 代表取締役社長 太田祐一がこちらの話題をランチタイムのテーマに取り上げました。

プライバシーセンターとは、リクルートグループにおけるデータ活用の考え方や管理方法、プライバシー保護体制強化の取り組みなどを具体的にかつ分かりやすく紹介するグループサイト内のWebページです。

同センターのQ&Aに記された設置理由には、リクルートはユーザーとクライアントの「マッチング」のスピードや相互の利便性を高めるためにユーザーの個人に関連する情報(パーソナルデータ)を取得・活用する一方で、パーソナルデータがどのように使われているのか、という不安や懸念に対し、わかりやすく説明することが同社の責務である旨を述べています。

プライバシーセンターで説明対象となっている企業は、「株式会社リクルートとその子会社のうち国内法が適用される、かつ、ユーザー向けにサービスを提供している会社」とあり、具体的な社名が列挙されています。なお、リクルートでは2021年4月1日を効力発生日とする組織再編により既存傘下の中核事業会社・機能会社7社を吸収合併する予定です。

「個人情報」と「インフォマティブ情報」の違い

プライバシーセンターは大きく4つのコンテンツで構成されています。「プライバシー」「ガバナンス」「セキュリティ」「データ設定(2021年4月1日開設予定)」です。

「プライバシー」の項目「01 パーソナルデータとは」をみると、リクルートがユーザーから提供されるデータを、「個人情報(A)」と「インフォマティブ情報(B)」に分類し、「パーソナルデータ」と総称しています。そして、パーソナルデータを活用するうえでの理念を(2020年4月20日発表の)「パーソナルデータ指針」に定め、法律上定義されている個人情報の取得・取扱いに関する約束事をプライバシーポリシーに定めています。

インフォマティブ情報とは、Cookieや端末情報、広告識別子(IDFA/ADID)、インターネットの利用ログ情報などです。

「インフォマティブ情報の外部提供」に不安はないの?

「プライバシー」の項目「04 パーソナルデータの外部連携を行なっています」では、個人情報の外部連携(第三者提供)と、インフォマティブ情報の外部連携についての言及があります。前者については次の通りです。

「ユーザーの個人情報を連携する場合、プライバシーポリシーでの同意に基づき、ユーザーが利用意思を示したサービスの提供者にのみ、個人情報の連携を行います。」

これについて太田は、「ユーザーの個人情報を外部連携(第三者提供)する際にユーザーから同意を得るタイミングや方法、個別同意か包括同意か、などについての説明もあると望ましい、と思いました」と述べました。

一方、後者のインフォマティブ情報の外部連携についての説明はごく短く記されるのみです。

「個人情報には該当しないインフォマティブ情報単体で外部に連携する場合は、連携する目的や用途が、パーソナルデータ指針に準拠した適正なものであるかを、十分に検討したうえで、連携実施の可否判断を行っています。」

これについて太田は「個人データ(個人情報)に紐づいていないインフォマティブ情報を第三者提供して、その提供先において個人データとなっていた、というのがリクナビ内定辞退率問題の焦点です。不安を払拭する丁寧な説明があったほうがよいのではないでしょうか」と指摘しました。

ターゲティング広告に用いるインフォマティブ情報は「業務委託先への提供」と「第三者提供」のどっち?

「プライバシー」の項目「05 個人識別を避ける加工処理を行なっています」では次の一文があります。

「ターゲティング広告を配信する際は、ユーザーのインフォマティブ情報と、外部の広告配信事業者が保有する属性情報をひも付けるケースがあります。」

しかしリクルートのターゲティング広告配信におけるインフォマティブ情報と外部の広告配信事業者が保有する属性情報のひも付けた結果、広告配信事業者のもとで個人情報に化ける可能性はないでしょうか?

同項目には続けて「なお、リクルートが保有するユーザーのパーソナルデータを活用した広告配信は、リクルートのサービスやリクルートのクライアントに関連する広告配信にのみ活用されます。」という注意書きが添えてあります。

太田は「リクルートのサービス云々、と記していることから、業務委託先への提供、すなわち自社での利用であって、第三者提供ではない、という意図かもしれません。真意はどうか。詳しい説明があるとよいでしょう」と述べました。

「とはいえ、プライバシーセンターは、リクルートがプライバシーについてどのように考えているか総じてわかりやすく説明されており、率直に好感が持てました。2021年4月1日以降、さらにコンテンツが拡充するとのことで、今後の進展に期待したいと思います」(太田)

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