毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。当記事で取り上げるのは以下の配信です。

  • 配信日:2023年4月20日
  • タイトル:Bluesky
  • メインスピーカー:データサイン 代表取締役社長 太田祐一
  • MC:ビジネスディベロッパー 宮崎洋史

Twitterからの移行先候補として浮上する分散型SNS

分散型(非中央集権型)SNSを実現するネットワークプロトコルなどを開発するオープンソースのプロジェクト「Bluesky」のクライアントアプリが2023年以降、iOSなどで利用できるようになってきました。Twitterと異なるBlueskyの特徴、他の分散型SNSとの違いなどをランチタイムトークの話題に取り上げました。

2022年10月にツイッターを買収したイーロン・マスク氏のもとで運営されるTwitterのサービス内容や提供機能に不満を持つユーザーが多いことから、その移行先として相次いで登場する分散型SNSが注目されています。

「Twitterでは、どのようなツイートが一覧に流れてくるか、というアルゴリズムはツイッター側がコントロールしています。アルゴリズムが公開されたといわれますが、その内容を果たしてどれだけ信用してよいものか、またアカウントを利用禁止(ban)する基準とは何なのか、不信を覚えるユーザーは少なくありません。それに対して、2021年11月に辞任したツイッターの共同創業者でCEOのジャック・ドーシー氏がまだCEO職に就いていた2019年12月、先行投資していることをツイートして明らかにしたblueskyがあらためて注目されています」(データサイン 代表取締役社長 太田祐一)

分散型SNSにはどんな種類があるの?

分散型SNSには現状、いくつかパターンがあります。まず、Twitterのように特定プラットフォーマーが一元管理する従来タイプのもの。それに対して、地方分権型とも呼ばれる連合(フェデレーション)型分散サービスがあります。こちらは、W3Cが策定した非中央集権、分散型 SNS プロトコルのオープン標準ActivityPubを用いたMastodonやMisskeyなどのサービスが知られています(MetaのThreadsもActivityPubプロトコルを用いており、これを使用する分散型SNSとの相互運用性が得られます)。

一方、リレー型分散タイプに、Nostrがあります。Nostrについては、2023年2月9日配信のランチタイムトークのトピックに取り上げましたが、公開鍵暗号方式を用いて、特定の運営者などがユーザーを一元管理しない仕組みを実現したオープンソースの分散型SNSです。このネットワークを制御する通信プロトコルに対応するクライアントアプリの1つが「Damus」です。Nostrも、前出ジャック・ドーシー氏が投資をしているプロジェクトです。

元ツイッターのCEOジャック・ドーシー氏の影響力

Blueskyは前述の地方分権型に分類しそうですが、ActivePubではなく、AT(Authenticated Transfer:認証転送)プロトコルという独自の通信プロトコルを用いているのが特徴です。

「Blueskyは、Nostrと同様に、公開鍵基盤などを用いるDID(分散型アイデンティティ)を採用していますが、公開鍵とペアになる秘密鍵はPDS(Personal Data Server)に保管します。Nostrはログイン時に自らの秘密鍵を利用する場合、それを他人に知られてしまうとなりすましや乗っ取りをされる危険性があります。一方、BlueskyはPDSにログインする際にID/パスワード認証を用いており、秘密鍵を表に晒すことはしません。PDSは誰でも任意に立てることができ、ユーザーは不満であれば別のPDSに投稿(フィード)などを移行することができるデータポータビリティが確保されています。このデータポータビリティは、ActivePub系のサービスとは一線を画す特徴の1つです」(太田)

また、他のユーザーの投稿を表示するアルゴリズム(クローリングインデクサー)は各PDSで変えられます。ユーザー自身にアルゴリズムの選択肢が与えられている点がTwitterとは異なります。

ジャック・ドーシー氏は、web3に対抗するビットコインをベースとした新たな分散型ウェブプラットフォームweb5にも投資していることが知られています。ツイッターを離れてもさまざまなインパクトを世の中に与える同氏。今後も気になる話題を皆さんにお届けしたいと思います。