毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。当記事で取り上げるのは以下の配信です。
- 配信日:2024年11月28日
- タイトル:CICが本人への開示を開始したクレジット・ガイダンス
- スピーカー:DataSign(データサイン) 代表取締役社長 太田祐一
- MC:ビジネスディベロッパー 宮崎洋史
信用情報を分析して算出するスコア
消費者のクレジットやローン利用に関する信用情報の収集・管理・分析・提供・開示を手がける「シー・アイ・シー」(以下、CIC)が2024年10月29日、消費者および全国主要クレジット会社など加盟企業に向けた新サービス「クレジット・ガイダンス」の提供開始を発表しました。CIC(Credit Information Center)は割賦販売法および貸金業法に基づく指定信用情報機関として指定を受けた唯一の指定信用情報機関です。
クレジット・ガイダンスは同年11月28日から消費者向けに、続く2025年4月1日から加盟企業向けに順次サービスを提供します。開始直後の消費者向けサービスを通じて入手した報告書の内容を交えながらこの日のランチタイムトークの話題に取り上げました。
クレジット・ガイダンスとは、CICが保有する信用情報を分析のうえ算出した「指数」(200~800の数値)とその「算出理由」を「クレジット・ガイダンス情報」として消費者とクレジット会社などに提供するサービスです。
「1984年の創業以来CICが適正与信を支援するために加盟企業に提供している消費者の信用情報に加えて、指数いわゆる信用スコアといわれる数値と、その算出の根拠を消費者および加盟企業に提供するサービスになります」(データサイン 代表取締役社長 太田祐一)
指数の算出に本人を識別する属性情報は関係するの?
ランチタイムトークは、太田が一消費者として信用情報およびクレジット・ガイダンス情報をインターネット経由でCICに開示申込(有料)をして入手した報告書を交えて進みました。
加盟するクレジット会社などからCICに登録される情報は、氏名、生年月日、性別、住所や勤務先名といった本人を識別するための情報と、契約日や商品名、支払回数などの契約内容に関する情報、そして請求額や入金額、異動(延滞・保証履行・破産)といった支払状況に関する情報など、多岐にわたります。
これら信用情報のうち指数の算出に用いられるのは客観的な取引事実のみで、それらを5つのカテゴリ「支払状況」「残高」「契約数」「契約期間」「申込件数」に分けたうえで、「各カテゴリから複合的に算出」するとCICのウェブサイトに書かれています。
「指数の算出には性別や年齢、年収などの属性情報は一切関係せず、またブラックボックス化の恐れのある AIは採用していないとのこと。算出理由とは指数に大きく影響を与えた取引事実ですが、割とあっさりした記述でした。なお、信用情報については、いつどのクレジット会社などから照会があったという、第三者提供記録も記載されています」(太田)
(信用情報ではなく)指数と算出理由については、第三者への提供を望まない場合には「停止」を選択することが可能になっています。
クレジット・ガイダンスのガバナンス体制は?
CICのサイトによると、クレジット・ガイダンスの提供開始に先立つ2024年6月6日に「第1回消費者委員会」が開催されました。同委員会は取締役会の諮問委員会として、消費者に関連する施策の重要事項を議論します。第1回の参加者は、社内取締役委員5名、社外取締役(独立)委員1名に加え、全国消費生活相談員協会の理事長を含む社外有識者4名でした。
同委員会の「議題2」には「クレジット・ガイダンスの事業開始に向けた取り組み」があり、主な意見には新サービスの内容を消費者に理解してもらい、消費者が自身のクレジットライフ向上に役立たせられるようにウェブサイトなどの手段を通じてわかりやすい説明に努めるべきとの指摘があります。
「ガバナンス強化の取り組みといえますが、情報銀行についてご存じの方は消費者代表などが参加するデータ倫理審査会を連想されたかもしれません」(太田)
信用スコアに対してはさまざまな意見があります。CICの取り組みが市場にどのように受け入れられるのか関心が集まりそうです。