総務省のICTサービスの利用環境の整備に関する研究会について

総務省のICTサービスの利用環境の整備に関する研究会について

2024年6月7日

毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。当記事で取り上げるのは以下の配信です。

  • 配信日:2024年2月8日
  • タイトル:総務省のICTサービスの利用環境の整備に関する研究会について
  • メインスピーカー:データサイン 代表取締役社長 太田祐一
  • MC:ビジネスディベロッパー 宮崎洋史

利用者の不安が大きい問題に対処する政策を論議

2024年2月6日、総務省「ICTサービスの利用環境の整備に関する研究会」の第1回ウェブ会議が開催されました。本研究会の概要と発足の経緯、第1回会議の内容などをランチタイムトークで紹介しました。

研究会を担当する総務省の部署は、総合通信基盤局電気通信事業部利用環境課です。研究会の座長は、宍戸常寿 東京大学大学院 法学政治学研究科 教授が務めます。

研究会の目的は、「ICTサービスの利用を巡る諸問題に幅広く対処し利用環境を整備するため」と開催要項に記してあります。諸問題のうち研究会が主に対象とするのは、「令和4年 通信利用動向調査」で明らかになった、利用者の不安が大きい次の3分野です。

  1. 利用者情報の保護の更なる促進
  2. ICTサービスの不適正利用への対処
  3. その他(誹謗中傷等の違法・有害情報への対応等)

(1)の利用者情報とは、個人情報やインターネット利用履歴など、漏えいに対するユーザーの不安が大きい情報のこと。(2)の不適正利用とは、被害が深刻化、拡大化する特殊詐欺や、スミッシング(SMS)を利用したフィッシング詐欺などを指しています。

研究会では(1)と(2)それぞれの議論を行うワーキンググループを設置し、検討を進めることを当面の計画としています。

プラ研の提言を踏まえた事業者モニタリングの継続

この日のランチタイムトークでは、データサイン 代表取締役社長 太田祐一が理事を務めるコミュニティ「MyData Japan」とも関連する(1)利用者情報の保護の更なる促進、に関する内容をメインに説明しました。

(1)で論点となる検討事項は大きく2つあります。「利用者情報に係るモニタリング等」と「スマートフォン上のプライバシー対策」です。

前者の「利用者情報に係るモニタリング等」は、太田も外部有識者の1人として参加した「プラットフォームサービスに関する研究会」(プラ研)の提言を踏まえたものです。

「プラ研では、電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドラインに基づいて、デジタル広告分野に限らず利用者情報の取扱いについて、総務省が該当する事業者に対し継続的にモニタリングを行うべきことを提言しています。また、非ログイン利用者や、第三者からの情報取得に係る利用者保護のあり方も検討項目に挙がっています」(太田)

長年議論されてきたスマホのプライバシー

論点となる検討事項の後者「スマートフォン上のプライバシー対策」では、2023年6月に施行された外部送信規律や、利用者に関する情報をサーバーに送信する情報収集モジュール等の情勢変化を踏まえ、スマートフォン利用者情報取扱指針を見直すかどうか、などが議論される予定です。

「スマートフォン上のプライバシーについては、2012年以降、総務省の研究会を通じて策定されたスマートフォン プライバシー イニシアティブ(SPI)にまとめられていますが、その内容をアップデートすることが論点の1つになる見通しです」(太田)

ICTサービスの利用環境の整備に関する研究会の情報は、総務省公式サイトに開示されています。皆さんもぜひチェックしてみてください。

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