毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。

当記事で取り上げるのは以下の配信です。

  • 配信日:2022年1月6日
  • タイトル:メタバース? NFT? web3?
  • 発表者:データサイン 代表取締役社長 太田祐一

数多く存在するメタバース

最近「メタバース」というワードを見聞きしないでしょうか? どのようなものなのでしょうか。デモを交えつつ、データサイン 代表取締役社長 太田祐一が解説しました。

2021年11月、フェイスブックは社名をMeta(メタ)に変更すると発表しました。この社名は、次世代のインターネット(web3)で広がりつつあるバーチャル空間(メタバース)に由来しています。メタバースは、上位や超越を意味する「meta」と宇宙や世界を意味する「universe」を組み合わせた造語。Meta(旧フェイスブック)のウェブサイトを眺めると、VR/AR、スマートグラスなどの新技術やツールで人と人のつながりや情報の探索を可能にするシーンが描かれています。

とはいえMeta以前にすでにメタバースはいくつも存在しています。2017年に公開された「VRChat」をはじめ、「cluster」「Rec Room」など参加者がアバターに扮して会話や交流、アイテム売買などができるバーチャルSNSは、大規模なオンラインイベントやバーチャル会議にも利用されています。バーチャル空間での3Dモデリングやプログラム開発といった共同作業や創作活動が可能な「NeosVR」も人気です。かつての「セカンドライフ」もメタバース化を視野に分散コンピューティング環境の強化に本腰を入れるといった情報も見受けられます。

一方で、投機色の強い売買が活発に行われているメタバースもあります。

「web3界隈で有名なのがTHE SANDBOX(ザ・サンドボックス)やDecentraland(ディセントラランド)、Cryptovoxels(クリプトボクセル)などです」(太田)

メタバースが吸い寄せる投資マネー

メタバース内の取引ではブロックチェーン技術を利用したトークンが用いられます。ザ・サンドボックスでは、「SAND」と呼ばれるERC(Ethereum Request for Comments)20規格に準拠したトークン(いわゆる暗号資産/仮想通貨)が用いられています。さらに、ザ・サンドボックスで取引される「土地」はバーチャル空間上のトークンですが、唯一無二のユニークなNFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)としてやりとりされます。NFTの実装もERC721規格というETH(イーサリアム)ベースで行われています。

「メタバースの土地(NFT)売買は、世界最大のNFTマーケットプレイスであるOpenSeaで可能です。ユーザーは自分の好む土地を購入し、その上で遊べる課金型ゲームを作って訪問者に提供したりアバターに着せる服を作って販売したりしてその価値を高めることができます。OpenSeaのようなNFT分野に投資するベンチャーキャピタルや機関投資家には、アンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz、通称A16Z)などが知られています」(太田)

投機対象化するメタバースの状況に、ツイッターの創業者であるジャック・ドーシー氏が、web3は非中央集権型と言われるけれど実態はベンチャーキャピタルや機関投資家が利益を牛耳る場所だと苦言を呈するツイートをしています。

ちなみに、イーサリアムは暗号資産の一種ですが、ブロックチェーン技術を用いてスマートコントラクト(契約を自動履行する仕組み)を実行するアプリケーションを構築することができるオープンソースソフトウェア(OSS)です。一方、ビットコインは暗号資産に特化したブロックチェーン技術で両者の考え方や立場は異なります。

「個人的にはweb3はイーサリアムやNFTの思想と相性がよいだろうと思っています。一方、ジャック・ドーシー氏はビットコイン派として知られているので、この批判はポジショントークなのかもしれません」(太田)

メタバースの本命はどこに?

前述のOpenSeaでNFTを売買するには、事前に暗号資産取引所を通じてイーサリアムを購入し、暗号資産用の財布(クリプトウォレット)であるMetaMask(メタマスク)にプール(送金)しておく必要があります。

「MetaMaskはChromeブラウザの拡張機能に組み込むことが可能で公開鍵暗号方式を用いた認証を実行します。自分のメールアドレスや電話番号などの個人情報を晒さずにメタバースへのログインが比較的安全かつ簡単に行えるので、プライバシーの自己コントロール性を割と高く保持しているほうでしょう。今後メタバース間を跨いで移動したり、あるメタバースで作ったゲーム作品などを他のところで販売したりできる自由度が出てくると、いよいよweb3の世界かな、と思います」(太田)

林立するメタバース、果たしてどれが本命なのでしょう?

なお、MetaMaskへのイーサリアムでの送金には価格変動する手数料(ガス代)がかかります。また、メタバースでの土地を含むNFT取引では価格が大きく乱高下するリスクがありますので皆さんくれぐれもご注意ください。