毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。
当記事で取り上げるのは以下の配信です。
- 配信日:2021年11月25日
- タイトル: マイルが貯まるアプリ Miles 解剖
- 発表者:データサイン 代表取締役社長 太田祐一
エコな移動を後押しする行動デザイン
2021年10月下旬、日本でのサービスが開始されたアプリ「Miles」。プライバシー保護対応の観点から気になる点をデータサイン 代表取締役社長 太田祐一が話題に取り上げました。
Milesはユーザーの位置情報から算出した移動距離に応じたマイルが貯まり、商品やサービスを購入できる特典やギフトカードに交換できるサービスです。App StoreとGoogle Playから入手できます。ユニークなのは、同じ距離でも徒歩やランニング、自転車など環境負荷の少ない手段で移動するとより多くのマイルが貯まるところです。
「iOS版アプリをインストールして1カ月ほど利用してみました。ユーザーが街歩きなどを楽しみつつ環境保護やSDGs(持続可能な開発目標)につながるようなゲーミフィケーション(ゲームの要素を取り入れた仕組み)が上手にデザインされたアプリだと思いました」(太田)
アプリを開発する米国の運営会社Milesは、2016年にシスコシステムズやモルガン・スタンレーの元社員らによって創業されました。同社の出資者にはスタートアップ企業に積極投資するジェットブルー・テクノロジー・ベンチャーズや、パナソニック、ソニー・イノベーション・ファンドなど各国のファンド、機関投資家などが並びます。
広告メディアとしてのMilesとプライバシー
Milesの画面にはマイルの多寡にかかわらずさまざまなキャンペーンの案内などが表示されます。
「広告メディアとしてもMilesは機能しています。たとえ0マイルでも申し込めるキャンペーンや特典も多くあります」(太田)
Miles Japanの公式サイトのトップページには、次のような文言が記してあります。
当社は、取得したデータの保護を最優先事項と考えています。
また、当社は取得した個人情報を第三者に提供、開示などいたしません。
同サイト内にあるプライバシーポリシー(2021年8月11日制定)をみると、取得する情報は大きく3種類です。メールアドレスなど(1)ユーザーが本アプリの利用登録の申込み時に提供等する情報。Cookieや利用端末のGPS機能などから推知される移動に関する情報を含む(2)ユーザーの本サービスの利用に伴って当社が取り扱う情報。そしてFacebookログインなどを通じて(3)ユーザーが自身のSNSとの連携を行なった場合に、当社が取得できる情報、です。
「利用目的などから、取得した位置情報を直接そのまま第三者に提供するわけではなく、データから読み取れるユーザーの行動圏や、『よく走る人なのか、電車に乗る人なのか』といった特徴に基づいて広告募集に利用していることが読み取れます」(太田)
「なお、iOS版MilesではIDFAの利用同意を求める画面は出てきませんでした。他のiOSアプリにおけるユーザーの行動履歴などの情報は、少なくともIDFAを利用して取得していない、と言えそうです」(太田)
iOSのプライバシー保護機能で挙動をチェック
さて、Miles Japanサイトのプライバシーポリシーに記された「第3 第三者提供の制限」にあらためて目を通すと、
(6) Cookie等をサードパーティーに提供するとき
(7)サードパーティーの提供する各種サービス内において、ユーザー情報の連携等が必要になる時
においては、「事前のユーザー本人の同意なく、ユーザー情報を第三者に対して提供」する可能性があることが示唆されています。
Milesは実際にどのような挙動をしているのでしょうか?
太田は、MilesをインストールしたiOS端末に備わったプライバシー保護関連機能「Appアクティビティの記録」(Record App Activity)から、Milesの接続先などの各種情報が記録されたJSON形式のログデータを取得し、そちらを表示しながら気になる点に解説を加えました。
データサインのランチタイムトークでは今後も話題のアプリや気になるサービスをレビューしてまいります。どうぞお楽しみに。