毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。当記事で取り上げるのは以下の配信です。

  • 配信日:2025年2月27日 
  • タイトル:ニュースコメンタリー。Googleによるデジタルフィンガープリント使用の報道など
  • スピーカー:DataSign(データサイン) 代表取締役社長 太田祐一
  • MC:ビジネスディベロッパー 宮崎洋史

グーグルによるデジタルフィンガープリント使用の報道

この日のランチタイムトークはニュースコメンタリー。視聴者の方からリクエストをいただいた3つの話題を取り上げました。まずは、Google(グーグル)によるデジタルフィンガープリント使用に関する報道です。

グーグルは2024年12月、同社のブログ(Googleマーケティング プラットフォーム)に「広告エコシステムの革新を反映した新たなプラットフォーム ポリシー」を発表しました。同社は高信頼実行環境などのプライバシー強化技術(PET)の進歩と個人や家庭におけるストリーミングプラットフォームへの移行が進む中で、広告エコシステムにおけるIPアドレスなどのデータの使用に高いプライバシー基準を設定する好機だとしています。

それに対して英国のデータ保護機関であるICO(Information Commissioner’s Office)とメディア(フォーブス)は、グーグルがユーザーのトラッキング(追跡)に対する態度を翻した、フィンガープリントをサードパーティーCookieの代替として認めるUターンだ、などと批判しています。

IPアドレスなどを手がかりにし、異なるデバイスをまたいで「これらのユーザーは同一のはずだ」と判別する手法はクロスデバイスフィンガープリンティングと呼ばれます。ユーザーは気づきにくく、その適用を拒否することが簡単ではありません。

「PETはフィンガープリンティングを助長する技術ではありません。グーグルの真意が問われます」(データサイン 代表取締役社長 太田祐一)

JCBによる個人情報の第三者提供

後半取り上げた2つのテーマは、個人情報の第三者提供に関する話題でした。

まず、クレジットカード会社のジェーシービー(JCB)が2025年2月28日に発表した利用者規定改定のお知らせについてです(2025年3月3日に更新あり)。

2025年2月28日(金)以降、同意ボタン等の押下により、MyJCB利用者規定に同意された会員の方に関する以下の情報を、JCBが元の情報に復元できない加工(ハッシュ化)を行い、以下の利用目的のために広告事業者等へ提供します。

提供を希望されない場合は、2025年2月28日(金)~同年3月31日(月)までにお手続きください。

「ハッシュ化で元の情報に復元できないと言い切れるのか、また同意取得の形式など、いくつか気になる点はありますが、提供する情報、利用目的、提供先事業者などを開示する姿勢には好感を持ちました。世の中には『データをハッシュ化しているから個人情報の第三者提供に当たらない』と誤解しているケースがいまだに多く見受けられるからです」(太田)

大阪・関西万博ID作成時の個人情報の第三者提供

個人情報の第三者提供に関するもう1つの話題が、2025年に開催される大阪・関西万博の個人情報保護方針についてです。

公式サイトには「国内ユーザー向け」「国外ユーザー向け」「関係者向け」と3つの個人情報保護方針が用意され、該当するものを参照するように記されています。

「国内ユーザー向け」の「2.個人情報の第三者への提供」には、「公益社団法人2025年日本国際博覧会協会」は、事前にユーザー本人の同意を得ることなく、個人情報を第三者に提供しないとするものの、本方針へのユーザーの同意に基づき、政府(博覧会に関係する規制当局、外国政府や地方自治体を含む)や博覧会への協賛企業、SNS事業者、広告関係会社、広告配信事業者、データ分析事業者、DMP事業者、媒体社などの第三者にユーザーの個人情報を提供する場合があるとしています。

「同協会が取得する個人情報は生体情報などを含めてかなり多岐にわたります。利用目的も列挙されていますが、情報を提供する個人や利用する事業者が不安にならないように、どの情報が何に利用されるのか、もう少しわかりやすい表現や丁寧なコミュニケーションが必要ではないかと感じました」(太田)

さて、ランチタイムトークでは視聴者の方から取り上げてほしいプライバシーテック界隈の「こんなことを知りたい!」といったリクエストをお待ちしています。「お問合せ」の欄からお知らせください。