毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。当記事で取り上げるのは以下の配信です。
- 配信日:2024年7月4日
- タイトル:総務省の偽・誤情報対策技術の開発・実証事業
- メインスピーカー:データサイン 代表取締役社長 太田祐一
- MC:ビジネスディベロッパー 宮崎洋史
総務省が事業者や研究機関を対象に公募を実施
総務省は、生成AIに起因する偽(にせ)・誤(ご)情報をはじめとする、インターネット上の偽・誤情報の流通リスクに対応するため、「インターネット上の偽・誤情報対策技術の開発・実証事業」を進めています。
その一環で2024年4月26日から5月20日にかけて、事業者や研究機関等を対象とする、インターネット上の偽・誤情報対策技術の開発・実証事業の公募を実施しました。
社会実装を進める対策技術のテーマは大きく次の2つです。
- ディープフェイク対策技術の開発・実証
- 発信者情報の実在性・信頼性確保技術の導入促進
ディープフェイクとは、進展著しい生成AI(人工知能)や画像・音声加工アプリを用いて、あたかも本物であるかのように合成した画像や映像などの偽情報のことです。ディープフェイクを判別する技術が開発された際には、ファクトチェック機関やメディアなどが情報の真偽の確認に活用することを念頭に置いています。
後者のテーマの背景には、昨今多発する著名人の氏名や写真を悪用した、偽のSNS広告やウェブ記事に釣られた投資詐欺などの多発があります。正しい情報コンテンツに適切な発信者情報を付与することで、発信者と受信者を偽・誤情報から守るねらいです。
データサインの提案が採択されました
公募の結果、合計21件の提案があったところ、外部有識者で構成する評価委員会による評価結果を踏まえて、6件の事業の採択を決定しました。
その中に、私たち株式会社DataSign(データサイン)が提案する「個人の署名によるコンテンツの真偽表明データベース」も採択されました。前述したテーマのうち後者に関わるものです。
「本人が関与していないのにも関わらず、あたかも関与しているかのように見せかけた広告やコンテンツによる詐欺被害が拡大しています。私たちの考える解決策とは、本人が関与した、または関与してない情報に対して、本人が署名を行うことで、生活者(やプラットフォーマー)が検証できる仕組みです」(データサイン 代表取締役社長 太田祐一)
個人が発信または生成した情報の検証を可能に
データサインが提案する解決策に対して、現状考えられている解決策の1つは、SNSなどのサービスを提供するプラットフォーマーがコンテンツの審査を強化することです。とはいえ、正当な広告やコンテンツまで排除されてしまう可能性があることや、一般的なウェブサイトが対象外にされるなど、課題も少なくありません。
もう1つの解決策として、情報の検証に関するさまざまな技術の高度化があります。ただし今のところ、企業やデバイスが発信、または生成した情報の検証は可能ですが、個人が発信、または関与した情報の検証が困難であるという課題が存在します。
「データサインが進める技術開発の詳細はまだオープンにできる段階ではありませんが、今後随時発表してまいりますので、どうぞご注目ください」(太田)
この日はほかにも「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」もトークの話題に取り上げました。