A/Bテストで検証!情報開示に効果はあるのか?

A/Bテストで検証!情報開示に効果はあるのか?

2022年9月13日

毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。

当記事で取り上げるのは以下の配信です。

  • 配信日:2022年5月12日
  • タイトル:A/Bテストで確認!情報開示に効果はあるのか?
  • 発表者:データサイン 代表取締役社長 太田祐一

ウェブサイトのユーザーに対する意識調査結果

総務省「プラットフォームサービスに関する研究会」に属する「プラットフォームサービスに係る利用者情報の取扱いに関するワーキンググループ」が2022年4月27日に第12回会議を開催しました。そちらに参加したデータサイン 代表取締役社長 太田祐一が、当日の議事資料をランチタイムトークの話題に取り上げました。

公開されている資料の名称は、「プライバシーポリシー等のベストプラクティス及び通知同意取得方法に関するユーザー調査結果」です。

この調査は、プラットフォーマーと呼ばれる事業者が運営するウェブサイトを対象にしたもの。サイトでユーザーに対して開示される情報として、「取得される情報の項目」「取得方法」「利用目的の特定・明示」「通知・公表又は同意取得の方法、利用者関与の方法」「情報収集モジュールやタグ等の設置有無」など、12項目の取り組み状況や見せ方の工夫が紹介されています。グーグル、Facebook Japan、アマゾンジャパン、楽天グループ、スマートニュースなどが提供するサイトについて、該当項目に関する質問を設け、ユーザーからの回答はインターネットアンケート形式で集めました。回答者の属性は、20代、30代、40代、50代、60代以上の5区分、男女別です。

Cookieや広告タグなどの情報開示で望ましいのはどっち?

トークの中で太田が取り上げた調査項目の1つが、「情報収集モジュールやタグ等の設置有無:設置するモジュール個別について個別に設置目的やオプトアウト動線を明示している」かどうか、に関するものでした。

調査はA/Bテスト形式で実施され、回答者が選択します。まず、提示画像A(工夫なし)では、

外部サービスによる情報取得について

本サイトでは、認証・セキュリティ、アクセス解析、お客様にあわせた広告の表示・広告効果測定、その他本サイトを利用するお客様のエクスペリエンス向上を目的として、第三者が提供するサービス(以下、外部サービスといいます。)を利用しています。当該第三者は外部サービスの提供にあたり、お客様の情報(クッキーや端末のID情報など)を取得します。

という文章のみが記されています。一方、提示画像B(工夫あり)では、上記説明文の下に続けて「本サイトが利用中の外部サービス」として、

Google Analytics Android SDK
提供会社:Google Inc.
取得項目:http://www.google.com/policies/privacy/partners/
利用目的:利用状況分析のため

といった情報収集モジュールやタグに関する情報が具体的に示されています。

ABtest.png

サービス名の羅列に加えてオプトアウト動線も用意

前出のA/Bテストの回答者に対して、さらに次の質問を投げかけました。

設問文:(中略)上記の説明であなたは「Webサイトが外部サービスを利用していること」や「外部サービスを通じて第三者が情報取得していること」が分かりますか。

この質問に対して、提示画像Aを閲覧した回答者のうち「とてもよく分かる」「よく分かる」「やや分かる」が51.7%、提示画像Bに対しては同42.0%でした。意外なことに、「工夫あり」の画像B(詳細版)のほうが理解の度合いが低いことが分かりました。

同資料ではこの結果について「外部サービスの名称を示すだけでは十分な理解が得られていない傾向が見られた。」と分析しています。

一方で、「事業者に対する信用の寄与」に関して、先ほど表示した掲示画像A/Bのような形で、「企業が自社のサービスで利用している外部サービスについて説明しているとしたら、あなたはその企業を信用できますか。」という質問に対する回答の傾向から、「ネットサービスの利用における自己効力感が高く、企業の情報利用に対する抵抗感も強い層(Seg1)においては、部分的に工夫を講じることであっても、信用が深まっていることが確認できた。」と分析しています。

太田は「ネットサービスを使いこなす自信があり、かつ、提供する自らのデータをきちんとコントロールしたいと考えるセグメントの人は、詳細版(提示画像B)のような開示方法にも好感を持っていますが、それ以外の多くの人にとっては詳細版もわかりにくいのだと思います。また、この資料では、オプトアウト(同意拒否)の動線を示した場合についての調査結果は得られていませんが、単に情報収集モジュールを文字で一覧化するだけでなく、オプトアウトするためのボタンなどがセットで用意されていると、調査結果も変わってくるかもしれません」(太田)

皆さんは、どのような情報開示の方法や動線ならばウェブサイトに好感を持てますか?

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