STEPN

STEPN

2022年9月26日

毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。

当記事で取り上げるのは以下の配信です。

  • 配信日:2022年6月9日
  • タイトル:STEPN
  • 発表者:データサイン 代表取締役社長 太田祐一

STEPNとは

暗号資産Solana(SOL)を利用するSTEPN(ステップン)は、現実世界で歩いたり走ったりした距離に基づいてゲーム内通貨(GST)を得られるNFT(Non Fungible Token)ゲームです。こちらのゲームで気になる点をデータサイン 代表取締役社長 太田祐一が話題に取り上げました。

STEPNは、オーストラリアに拠点を置く「Find Satoshi Lab」が2021年8月に設立。同年9月にコアチームを結成し、10月にはSolana Ignition Hackathon Gaming Track 2021で優勝したそうです。

「STEPNのホワイトペーパーには、『人々に健康的なライフスタイルを提案し、Web3につなげ、気候変動に立ち向かう』とあります。ユーザー数は約67万人に達するなど人気を博しています」(太田)

なお、データサインが2021年11月25日に配信したランチタイムトークで取り上げたアプリ「Miles」はユーザーの位置情報から算出した移動距離に応じたマイルが貯まり、商品やサービスを購入できる特典やギフトカードに交換できるサービスでしたが、STEPNは次の点で異なります。

まず、Milesはアプリをインストールすればすぐに始められますが、STEPNではNFTスニーカーを購入する必要があります。そして移動した距離に応じたゲーム内通貨が得られますが、さらに加えてこのスニーカーの機能強化やレベルアップを図ることで価値を高め、NFTとして販売し、収益を得ることができるゲームです。

次に、Milesはアプリを開発する米国の会社によって運営されていますが、STEPNでは議決権を有するガバナンストークン(GMT)を販売しています。ただし、Find Satoshi Labという運営会社はあるのでDAO(分散型自立組織)ではありませんが、100%中央集権型でない運営スキームに特徴があります。

  • GST :ゲーム内通貨(ランチタイムトーク時点 1GST = 74円)
  • GMT:ガバナンストークン(ランチタイムトーク時点 1GMT = 132円)

NFTスニーカーが投機対象に?

NFTは、資産価値を有する、ブロックチェーン上に記録された代替不能なデータを意味します。デジタル絵画やメタバース上の仮想的な土地など昨今はさまざまなNFTが存在、取引されていますが、STEPNに参加するためにユーザーが購入するスニーカーもNFTです。

入手方法はいくつかありますが、たとえば暗号資産(仮想通貨)取引所において円でSolana(単位はSOL)を購入し、アプリ内のウォレットに送金(転送)します。STPENでは実際にランニングした距離に応じてGSTと呼ばれるゲーム内通貨が獲得されます。本ランチタイムトーク時点での交換レート(円換算)は1SOLが約5,000円、1GSTが74円ほどです。

効率よくGSTを稼ぐには、歩くよりも運動量の大きいジョギングのほうが有利な設定になっています。またNFTスニーカーの機能やレベルを強化することでゲーム内通貨を稼ぐ効率が上がります。ただし、機能強化や消耗を補うメンテナンスにはGSTが消費されます。

さらに機能強化したNFTスニーカーを販売したり、複数のスニーカーを掛け合わせて新しいスニーカーを作り(=ミントし)、それを高値で売却したりすることもできます。

「一時期、ものによっては一足70万円することもありました。最近では中国市場からのSTEPN利用に制限がかかるなどの要因が影響したせいか、価格が下がり、安ければ3万円ほどで購入できます。安いと言ってもそれなりの価格ですね」(太田)

元を取ろうとウォーキングやジョギングに励むモチベーションは湧くかもしれませんが、実際は売却益を狙うユーザーが多いようです。

運営とガバナンスは?

STEPNの運営は現状、Find Satoshi Labが行なっていますが、議決権を有するガバナンストークンが販売されています。

「GMTは、議決権付きの株式と同じようなものです。DAOではありませんが、ユーザー自身の意思を反映できる仕組みは、保有株式に応じて議決権を行使できる株式会社と同様な形なので、ガバナンスがよい塩梅で効いています。こうした組織運営は今後増えるかもしれませんが、DAOのように、何か名前を付けたいところです」(太田)

一方、STEPNのビジネスモデルには曖昧な点もあります。高額なスニーカーをユーザーにSolanaで買わせて加入させ、その購入代から運営費を抜き取り、運用することなくGSTとして分配している、つまり詐欺行為のポンジスキームではないか、という指摘もあります。

「『70万円のスニーカーを買って10分走ったら3,000円もらえる』というビジネスは常識的に考えると成立しないと思います。ただ、ゲーム内でトークンをBurn(焼却)させる(仮に運営組織がネコババしてもトークンの価値が次第に目減りする)要素があることには注目しています。また個人的には、NFTスニーカーの売却が出口ではなく、メタバースのアバターに履かせて自慢できるようにするなど、NFTを保有することでの付加価値を高めるビジネスモデルに向けた工夫が必要ではないかと思います」(太田)

なにかと話題に事欠かないWeb3界隈。今後も注目したいと思います。

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