毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。当記事で取り上げるのは以下の配信です。
- 配信日:2023年2月2日
- タイトル:電気通信事業参入マニュアルおよびガイドブックの更新について
- メインスピーカー:データサイン 代表取締役社長 太田祐一
- MC:ビジネスディベロッパー 宮崎洋史
マニュアル追補版を新旧比較
2023年1月30日、総務省は電気通信事業参入マニュアル[追補版](以下、マニュアル追補版)と[電気通信事業参入マニュアル[追補版]ガイドブック(以下、ガイドブック)をそれぞれ改定したと発表しました。そちらの新旧比較をランチタイムトークの話題に取り上げました。
マニュアル追補版とガイドブックは、電気通信事業法の適用(登録・届出が必要な電気通信事業への該当の有無等)を判断するための考え方や具体的な事例をまとめた文書です。総務省のサイトによると文書の目的は、令和4年6月に公布された電気通信事業法の一部を改正する法律と、令和5年1月に公布された関連規定を踏まえ、法の解釈の明確化および掲載事例の拡充などを行うため、とあります。
「まず、改定されたマニュアル追補版について手許にある旧版と見比べました。改定内容の1つが、電気通信事業法の適用に係る判定フローチャートの中にある、『電気通信事業』に該当するか、という箇所です。オンラインニュースや映像配信など、自社の商品やサービス自体がインターネットで提供される場合は、電気通信役務の提供(情報の送信)を前提としているため、電気通信事業に該当する、という一文が追記されました」(データサイン 代表取締役社長 太田祐一)
ガイドブックには多くの追記
ガイドブックについても新旧比較をしてみました。当該サイトには改訂前のPDFファイルも掲載されています。
「紙面のレイアウトやデザインの雰囲気が大きく変わりました。新旧のどちらが見やすいかでいうと好みが分かれそうです。内容面では、『主なオンラインサービスの考え方』というページに、従来の『各種情報のオンライン提供』に加えて、『企業等のHP(ホームページ)』『個人のHP、動画・ブログ等の投稿』『検索サービス』が追記されています」(太田)
企業等のHPでは、自社の概要や商品、サービスについて周知・宣伝するために開設するもの、または、これらの商品やサービスを販売するための手段として開設するものは、電気通信事業に該当しないとあります。一方、オンラインニュースや映像配信などは、前述のマニュアル追補版にも記されたとおり、電気通信役務の提供(情報の送信)を前提としているため、電気通信事業(登録・届出不要な電気通信事業、すなわち第3号事業)となります。これには、コンテンツのダウンロード販売やSaaS提供の場合も含まれます。
「個人のHPについては、『個人の情報発信の手段』と『動画等の投稿』については電気通信事業に該当しませんが、『個人の事業として運営』する場合は第3号事業に該当することが明確になりました。ただ、どの程度で事業と判断されるのか、ここは解釈が分かれるところかもしれません」(太田)
日本の外部送信規律は欧州のePrivacy指令より先端を走る?
ランチタイムトークの後半では、総務省のサイトに公開されている「外部送信規律FAQ」の概要を紹介しました。外部送信とはFAQによると、「利用者のパソコンやスマートフォン等の端末に記録された当該利用者に関する情報を、当該利用者以外の者の電気通信設備(Webサーバ等)に送信すること」を意味します。このFAQでは外部送信規律の内容や規律に従う対象者(どのような電気通信事業者か)などについて、より具体的な内容が記されており参考になりそうです。
たとえば、問1-7️とその回答は次のようになっています。
問1-7 :当社のウェブサイトではCookieを利用していません。今回の外部送信規律の適用は受けないと考えてよいでしょうか。
答 :外部送信規律は、利用者の端末から外部に情報を送信するよう指令するプログラム等を利用者の端末に送信する行為全般を規制するものです。このような行為を行っていれば、Cookieを利用していなかったとしても規律対象となります。
「つまり、サードパーティーCookieを用いないUnified ID 2.0やコンテキストマッチ広告、W3Cで標準化が進められるFLEDGEやTopics APIなども含めて規律の対象になるといえます。その意味では欧州のePrivacy指令と比べてもより明確に情報の外部送信に焦点を当てているところは評価できる内容ではないかと思います」(太田)
マニュアル追補版およびガイドブックには、今後も必要に応じて改定、または要望を踏まえてアップデートしていく予定であることが記されています。私たちも引き続き、チェックしたいと思います。