毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。当記事で取り上げるのは以下の配信です。

  • 配信日:2023年5月25日
  • タイトル:電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドラインの解説パブコメ結果
  • メインスピーカー:データサイン 代表取締役社長 太田祐一
  • MC:ビジネスディベロッパー 宮崎洋史

注目は「ガイドラインの解説の改正案」に対するパブコメと回答

2023年5月18日、総務省から「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン及びその解説の改正案に対する意見募集の結果」が公表されました。こちらの中で、デジタル広告やコンテンツ配信でのプライバシー保護に関連する、電気通信事業法 第27条の12「情報送信指令通信に係る通知等」いわゆる、外部送信規律に関する部分をランチタイムトークで取り上げました。

総務省は、「特定利用者情報の適正な取扱いに関するワーキンググループ」と「プラットフォームサービスに係る利用者情報の取扱いに関するワーキンググループ」の議論を踏まえて作成した、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインおよびその解説の改正案について、2023年3月24日から同年4月24日までの間、意見募集を行いました。その結果、ガイドラインの改正案に13件、その解説の改正案に16件の意見提出があったそうです。

ランチタイムトークでは特に後者の、ガイドラインの解説の改正案に対するパブコメと、総務省の考え方が記された回答にスポットを当てました。

オウンドメディアやコーポレートサイトも規制の対象になりえる

ランチタイムトークで紹介したパブコメとその回答の1つがこちらです。

【意見】

7-1-2 対象役務

金融事業者に関する事例において、金融情報のニュース配信は金融取引の判断において重要な指標となり得るもので、金融商品等のオンライン取引等に必要なものと通常は考えられるところ、「オンライン取引等とは独立した金融情報のニュース配信」とは、具体的にどのようなものを想定されているのか、明らかにしていただきたい。

【回答】

例えば、株取引の仲介業務とは独立して、運用のコツや狙い目の銘柄等を紹介しているようなウェブサイトなどが該当すると考えられます。

「そもそも証券会社などの金融機関では一般的に、オンライン取引と独立させることなく、取引に関連するコンテンツを配信するオウンドメディアを連携して運用しています。総務省の一連の回答からは、企業のオウンドメディア全般、さらにはコーポレートサイトも、外部送信規律の対象になりえることが読み取れます。また金融に限らず、他の業種業界においても同様の方針が適用されるものと考えられます」(データサイン 代表取締役社長 太田祐一)

表現がやや微妙な回答も

もう1つ取り上げたパブコメとその回答はこちらです。同じく、対象役務に関する内容です。

【意見】

7-1-2 対象役務

レビューや口コミの掲載について、レビュー・口コミの掲載を中心とするサイトとは異なり、例えば、「電気通信事業」に該当しない自社商品のオンライン販売サイトにおいて、付随的に当該商品のレビュー・口コミの掲載がある場合、当該レビュー・口コミは独立の役務としての性質を備えておらず、電気通信役務としての独立性が認められないため、規律の対象外であると理解で相違ないか。

【回答】

個別の事案ごとに判断されることとなりますが、レビューや口コミの機能のみを捉えて、「電気通信事業」の該当性を判断するものではなく、これらの機能を有するウェブサイトについて、「電気通信事業」の該当性を判断します。当該ウェブサイトが、自社商品のオンライン販売サイトであれば、自己の需要のために電気通信役務を提供しているのであって、「他人の需要に応ずるために提供」しているものではないため、「電気通信事業」に該当しません。

「回答からは、ウェブサイト全体を見たうえで電気通信事業に該当するかどうかを判断する、と読み取れます。ところが、もし該当しない、と判断された場合に、『そうか、レビューや口コミを掲載する機能があっても評価に関係ないんだな』という誤解を招くのでは、という懸念を覚えました。レビューや口コミには、それらを投稿する人々の需要があり、それに応じる機能を提供していることは該当性の評価から除外できないはず。たとえ自社商品のオンライン販売サイトでも、レビューや口コミの機能を有する場合は留意したほうがよいポイントと思います」(太田)

さて、この日のランチタームトークでは、上述した対象役務以外の意見と回答も話題に取り上げました。本レポートで取り上げきれない話題や視聴者との質疑応答も飛び出すランチタイムトーク。今後もライブ本編をぜひお見逃しなく!