6月16日施行、改正電気通信事業法

改正電気通信事業法は、2023年6月16日に施行されます。

外部送信規律については、以下の記事で解説していますが、対象事業者について、総務省より新たな見解が示されたため、この記事では、対象事業者に絞って解説していきます。

改正電気通信事業法とは?外部送信規律のポイント解説

対象事業者は?

電気通信事業法はその対象が分かりにくく、多くのウェブサイトやアプリの運営者は「外部送信規律」に対応する必要があるのか、悩ましい部分だと思います。

まず、対象となるのは事業者ではなく、ウェブサイトやアプリ等のサービスです。ですので、同じ事業者が提供するサービスでも「サービスA」は対象だが、「サービスB」は対象ではない、ということもあり得ます。

その上で、総務省からは、以下のサービス区分が示されています。

  1. メールサービス、ダイレクトメッセージサービス、ウェブ会議システム等
  2. SNS、電子掲示板、動画共有サービス、オンラインショッピングモール、シェアリングサービス、マッチングサービス等
  3. オンライン検索サービス
  4. 不特定の利用者の求めに応じて情報を送信し、情報の閲覧に供する、各種情報のオンライン提供サービス

1.~3.は分かりやすいのですが、4.の各種情報のオンライン提供サービスは具体的にどういうものなのか分かりにくいと感じられると思います。

対象となるもの(各種情報のオンライン提供サービス)

以下に各種情報のオンライン提供サービスと考えられるものを列挙しました。

  • オンラインメディア(例:日経電子版等)
  • 広告等によって利益を得ようとする個人ブログ(実際に利益を出ていなくても)
  • 集客を行うために運用しているオウンドメディア
  • サービス自体がオンラインで提供されるもの(例:Salesforceや勤怠管理システム等のSaas)

オウンドメディアについては、意見が分かれる部分でしたが、施行直前の2023年5月18日に総務省から、以下の見解が示されました。

  • “金融事業者の例では、運用のコツや狙い目の銘柄等を紹介するようなウェブサイトが該当すると考えられる。”総務省公表資料 P46

例えば証券会社の例では、総務省の公表しているガイドブックにおいて、「証券・金融商品等についてのオンライン販売」は対象外と記載があるため、誤解されやすいのですが、株式取引のサービスは対象外となりますが、「運用のコツ」などのコンテンツを発信する、集客するためのオウンドメディアは対象となる、ということです。

対象とならないもの

逆に各種情報のオンライン提供サービスの対象外となるものは以下です。

  • 自社の情報のみを掲載しているコーポレートサイト
  • 利益を得ようとしていない個人ブログ
  • 自社の商品、自社で仕入れた商品のみを扱い、他者の情報を掲載していないECサイト

ただし、総務省からは、以下の見解が示されており、コーポレートサイトのコンテンツとして他者を提供した場合、直ちに対象ということにはなりませんが、その情報提供自体に事業性がある場合には対象となると考えられます。

  • “自社の製品サービス以外の、業界団体、事業環境にかかる情報や、業務提携先の企業にかかる情報などを提供する場合、「他人の需要に応ずる」に該当すると判断される場合がある。”総務省公表資料 P46

参照情報まとめ

執筆者プロフィール

太田祐一

  • 株式会社DataSign 代表取締役社長
  • 一般社団法人MydataJapan 常務理事
  • 総務省 プラットフォームサービスに係る利用者情報の取扱いに関するワーキンググループ 構成員
  • 内閣官房 デジタル市場競争本部 Trusted Web推進協議会 委員
  • JIS Q 15001(Pマーク)JIS原案作成委員会 委員
  • JIS X 29184 (オンラインにおけるプライバシーに関する通知及び同意) JIS原案作成委員会 委員