毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。
当記事で取り上げるのは以下の配信です。
- 配信日:2022年8月25日
- タイトル:改正電気通信事業法 省令案
- 発表者:データサイン 代表取締役社長 太田祐一
外部送信(情報送信機能)とは?
2022年8月25日、総務省「プラットフォームに関する研究会」傘下の「プラットフォームサービスに係る利用者情報の取扱いに関するワーキンググループ(第18回)」がオンラインにて開催されました。議題は「外部送信規律に関する総務省令案について」。本ワーキンググループに参加したデータサイン 代表取締役社長 太田祐一が、会議の論点を振り返りました。
第208回国会で可決成立し、2022年6月17日に公布された「電気通信事業法の一部を改正する法律」(改正電気通信事業法)。ワーキンググループで議題になった外部送信規律の「外部送信」とは、同法の第二十七条の十二に記された、「利用者の電気通信設備に記録された当該利用者に関する情報を当該利用者以外の者の電気通信設備に送信する機能」を意味します。この「情報送信機能」を起動する指令を与える電気通信の送信を「情報送信指令通信」といいます。
具体例に置き換えると、ユーザーのスマホやPC(これらは当該利用者の電気通信設備)がアクセスした先が、電気通信事業者または第三号事業を営む者(しゃ)のウェブサイトならばJavaScriptの広告タグなどを発火、アプリならばSDKをダウンロード・実行させて(これらが情報送信指令通信に相当します)、ブラウザを識別するCookie情報や、アプリに紐づく広告IDを外部のサーバーに送信させる行為になります。
総務省令案について関係団体にヒアリング
総務省令案は事前に関係団体などに配布され、同案に対して第18回ワーキンググループでは、一般社団法人新経済連盟、一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会、一般社団法人日本インタラクティブ広告協会、一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム、一般社団法人MyDataJapan、またワーキンググループの構成員などが省令案に対して意見を述べました。
この日の会議では総務省令案の中で、特に外部送信規律に関する以下の5つ項目について意見が求められました。
- 利用者に及ぼす影響が少なくない電気通信役務
- 利用者に通知し、又は当該利用者が容易に知り得る状態に置く方法
- 利用者に通知し、又は当該利用者が容易に知り得る状態に置く事項
- 電気通信役務を利用する際に送信をすることが必要な情報
- オプトアウト措置に関し利用者が容易に知り得る状態に置くべき事項
「(1)に記されるのは『この規制の対象者は誰か』ということです。(2)では当該利用者(ユーザー)への通知方法および容易に知り得る状態に置く(公表の)方法とはどのような意味か、(3)では(2)で通知または公表を行う事項とは何か、(4)は(3)と逆に通知または公表しなくてもよい事項は何か、(5)ではオプトアウトをする際にどのような事項の公表が必要か、という内容が記されています」(太田)
詳しくは当日の配布資料もご覧ください。
事業者やユーザーにとってわかりやすい内容を
「(1)について会議では『規律の対象となる事業者やサービスがわかりづらいので、明確にしてほしい』といった意見が相次ぎました。省令案では一般的なコーポレートサイトを運営する企業は対象になりません。ただし、ニュースサイトやECサイトを運営する企業が開設しているコーポレートサイトは対象になるのか。ニュースサイトやECなどの限定されたサービスだけが対象になるのか。具体例については、総務省令に関連するガイドラインなどに表記される可能性があり、引き続き注視が必要です」(太田)
会議では同様に(2)から(5)までの事項に関し、曖昧に受け止められる可能性のある文言や定義の不十分な用語についてより具体的な説明や記述を求める指摘が出されました。省令はパブコメなどを経て正式にリリースされますが最終的に、サービスを提供する事業者やユーザー双方にとってわかりやすく、個人の権益保護と市場の健全な発展につながる内容になることを望みます。