Verifiable Credentials等の技術を活用した偽・誤情報対策のための真偽表明プラットフォーム「Boolcheck」を発表

株式会社DataSign(東京都新宿区、代表取締役:太田祐一)は、総務省「インターネット上の偽・誤情報対策技術の開発・実証事業」の一環として、情報の信頼性を評価・共有できる新しいプラットフォーム「Boolcheck」を試験的にリリースしました。
総務省「インターネット上の偽・誤情報対策技術の開発・実証事業」について
■Boolcheckの利用方法
投稿された真偽情報の確認を行いたい方
Boolcheckのウェブサイトから直接閲覧
- Boolcheckのウェブサイトに投稿されている真偽情報をご確認いただけます。
Boolcheckのブラウザ拡張機能をインストールして通知をうけとる
- Boolcheckのブラウザ拡張機能をインストールすることで、アクセスしたURLに対する真偽情報がBoolcheckに投稿されている場合に、ブラウザ内で通知を行います。

真偽情報の投稿を行いたい方(証明書をお持ちでない方は匿名投稿のみ可能です)
-
Bunsin wallet をインストール
- 現在はiPhoneのみ対応となっております。近日中にAndroid版も提供予定です。
-
Boolcheckのウェブサイトから真偽情報を投稿したいURLを入力
- 既に真偽情報投稿がある場合は、その投稿が表示されます。
- 「真偽情報を追加」ボタンから真偽情報を入力
- 必要に応じてコメントも投稿することが可能です。
- 「署名する」ボタンを押下
- PCで表示している場合は、QRコードをBunsin walletで読み取ってください。
- モバイルの場合はQRコードの下に表示される「またはこちらをクリック」をタップしてください。
- Bunsin wallet で内容を確認し、情報の送信を行う
- 証明書をお持ちでない場合は、「証明書を選択せず投稿する」を選ぶことで匿名投稿が可能です。
- 最終確認画面で「投稿する」ボタンを押して投稿
- 「投稿する」ボタンをタップしない限り投稿は行われません。
■開発の背景
インターネット上の偽・誤情報による被害が深刻化しています。著名人を騙りその信用を悪用した情報コンテンツの流通により、令和6年中のSNS型投資詐欺の被害額は約800億円に達しています。また、偽情報による健康被害や救命・救助活動への支障など、誤情報の拡散による社会的影響も問題となっています。 さらに、2025年1月、世界最大のSNSプラットフォームであるFacebookを運営するMetaは、非営利組織などの第三者による投稿内容のファクトチェックを廃止すると発表しました。
このような状況下で、プラットフォーム事業者に依存しない、新たな情報検証の仕組みの必要性が一層高まっています。
現状の対策には、以下のような課題があります:
- 偽・誤情報対策におけるSNS等のプラットフォーム事業者への依存
- プラットフォーム事業者による審査には限界があり、問題のないコンテンツが過度に排斥される一方で、悪質なコンテンツが審査をすり抜ける事例が発生
- 各プラットフォーム事業者で審査基準が異なり、統一的な対策が困難であり、対応コストも高い
- プラットフォーム事業者のポリシーによっては、コンテンツの削除が迅速に行われないケースが存在
- SNS等のプラットフォーム外でのコンテンツ配信に対する削除依頼の方式が不明確
- 著名人などの個人が自分自身で採れる対策が少ない
- 個人発信者(著名人等)による情報の信頼性を示す仕組みが未整備
■Boolcheckのアプローチ
インターネット上の偽・誤情報対策として、Boolcheckは以下のアプローチを提供します:
1. 個人が主体的に対応可能
著名人が自身の名を騙った偽広告に対して「これは偽物である」と表明したり、ジャーナリストが記事の信憑性について専門的な見地からコメントを付けることができます。
- 著名人やジャーナリスト自身が任意のコンテンツに対して真偽等を表明
- デジタルアイデンティティウォレットを用いた本人による署名
2. プラットフォーム非依存
SNS、ニュースサイト、ブログなど、プラットフォームを問わず、URLさえあればどのようなコンテンツに対しても評価を行うことができます。また、プラットフォーム事業者自身もAPIを通じて、この評価システムを自社のサービスに組み込むことが可能です。
- URLで表現されるインターネット上のあらゆるコンテンツに対応
- 特定のプラットフォーム事業者に依存しない仕組み
- APIによる各種プラットフォームとの連携機能
3. 分散型アーキテクチャ
分散型の設計により、特定の組織や国の管理下に置かれることなく、グローバルで透明性の高いシステムを実現します。評価データは改ざんが困難な形で保存され、誰でも検証することができます。
- OrbitDB(IPFS)を活用した分散型データベース
- 誰でもノードとして参画可能な設計
- 特定の事業者に依存しない署名データベース
4. 検証可能性の確保
例えば、新聞社の記者が評価を行う場合、その記者が実際に当該新聞社に所属していることを暗号技術により証明できます。同様に、著名人が発信する場合も、本人であることを証明することが可能です。
- Verifiable Credentialsによる属性の証明
- X.509証明書による組織の実在性確認
■利用者向け機能の特長
1. 直感的なユーザーインターフェース
ユーザーがウェブサイトを閲覧する際、そのページに関する真偽情報がブラウザ上に自動的に表示されます。例えば、偽広告に対する著名人本人からの注意喚起や、ニュース記事に対するファクトチェック結果をリアルタイムで確認できます。
- ブラウザ拡張機能による即時の真偽情報表示
- シンプルで使いやすいインターフェース
2. 柔軟な情報連携
プラットフォーム事業者は、広告審査やアカウント認証の補助ツールとしてBoolcheckを活用できます。また、ニュースサイトやブログプラットフォームでは、記事の信頼性を示す指標として利用することが可能です。
- 各種プラットフォームとのAPI連携
- 外部システムとの容易な統合
■今後の展開
Boolcheckは、情報の信頼性評価プラットフォームとして、段階的な機能拡張と利用拡大を計画しています。
まず、前澤友作氏をはじめとする著名人や、複数の主要メディアのジャーナリストの方々による実証実験を開始します。この過程で得られるフィードバックを基に、システムの改善と機能の拡充を進めていきます。
また、BoolcheckのAPIを公開し、各プラットフォーム事業者がシステムに組み込めるようにすることで、広告やアカウントの審査などへの活用も可能になります。これにより、プラットフォーム事業者が抱えているファクトチェック人員不足という課題への対処も期待できます。
さらに、システムの基盤となる技術については、標準的な仕様を組み合わせて開発し、ソースコードを利用しやすいライセンスの下でオープンソース化する予定です。これにより、幅広い主体による活用と、オープンなコミュニティによる継続的な改善を目指します。
将来的には、本システムの一部を国際標準として提案することも視野に入れており、グローバルな展開も検討しています。災害時の情報共有や、組織の公式声明の発信など、様々な用途への応用も期待されます。
このように、Boolcheckはインターネット上の新しい信頼基盤として発展していくことを目指しています。