毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。当記事で取り上げるのは以下の配信です。
- 配信日:2025年1月23日
- タイトル: 「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討」の今後の検討の進め方について(案)
- スピーカー:DataSign(データサイン) 代表取締役社長 太田祐一
どうなる? 法改正の方向性
2025年1月22日に開催された第312回個人情報保護委員会では、資料1-1「「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討」の今後の検討の進め方について(案)」が配布されました。ランチタイムトークではこちらの内容を話題に取り上げました。
個人情報保護委員会は2023年11月より、個人情報保護法(令和2年改正法)におけるいわゆる3年ごと見直し検討を開始しました。国民への意見募集(パブリックコメント)や有識者、産業界、消費者団体へのヒアリングなどを通じて、多様なステークホルダーの意見や指摘を整理しています。
資料1-1は全9ページに
- これまでの経緯等
- 事務局ヒアリングを通じて得られた視点等
- 制度的な論点の再整理について
- 今後に向けて考慮していくべき点
が綴られています。
ヒアリングで得られた4つの視点
資料に記された「事務局」とは、2014年11月から12月にかけて有識者11名、経済団体・消費者団体等17団体からヒアリングを実施した個人情報保護委員会事務局を指します。ヒアリングの対象には、データサイン代表取締役社長の太田祐一が常務理事を務めるマイデータジャパン(MyDataJapan)も含まれます。
資料ではこの事務局ヒアリングを通じて得られた視点として、次の4つがおもに挙げられています。
1)個人情報保護法の保護法益(注:法律で保護されている利益)
2)本人の関与
3)事業者のガバナンス
4)官民を通じたデータ利活用
本資料では「今後、法の見直し・運用に際しては、これらの視点・視座を考慮し、幅広いステークホルダーの意見を踏まえながら、必要な対応について検討していくことが重要」と述べられています。
また、検討すべき追加的な論点として
1) 個人データ等の取扱いにおける本人関与に係る規律の在り方
2) 個人データ等の取扱いの態様の多様化等に伴うリスクに適切に対応した規律の在
り方(ガバナンスの在り方)
という2点が記されています。
課徴金制度や団体訴訟制度は「要否」を検討中
さて、事務局ヒアリングで得られた視点や追加的に検討すべき論点などを含めて、一般法としての個人情報保護法の基本的な在り方の観点から検討すべき制度的な論点を再整理した図が、同じく第312回個人情報保護委員会で配布された資料1-2「個人情報保護法の制度的課題の再整理」に示されています。

「法改正の大きな方向性は次第に見えつつあるようです。ただ、経済的誘因のある違反行為に対する実行的な抑止手段(課徴金制度)や違反行為による被害の未然防止・拡大防止のための団体による差止請求制度や被害回復制度の導入については、そもそも要否がまだ明確になっていないなど今後の進展が気になります」(太田)
ひきつづき法改正の進展についてウォッチしたいと思います。