毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。当記事で取り上げるのは以下の配信です。

  • 配信日:2024年9月5日 
  • タイトル:Google同意モード 
  • スピーカー:DataSign(データサイン) 代表取締役社長 太田祐一、webtru開発責任者 中込大祐
  • MC:ビジネスディベロッパー 宮崎洋史

「Google同意モード」とは?

2024年3月から、EEA(欧州経済領域)、英国、スイスにおいてグーグルが提供するオンライン広告プログラム(Google広告)やGoogle Analyticsの利用に際して、「Google同意モード」のバージョン2(以下、v2)への対応が必須になりました。背景の1つには、公正なデジタル市場の実現やユーザーの基本的権利の保護に向け、グーグルを含むゲートキーパーを規制するデジタル市場法(DMA)の遵守があります。

Google同意モードは、ウェブサイトを利用するユーザーの選択に基づいて、Chromeブラウザなどで機能するタグやSDK(ソフトウェア開発キット)の動きを制御、調整するための仕組みです。

下表に示す各種同意事項についてユーザーが選択した「許可」または「拒否」のシグナルを、同意管理ツール(CMP:Consent Management Platform)などを介してグーグル側が受け取ります。ユーザーの同意状態を伝えられたグーグルは、それに応じてGoogle広告やGoogle Analyticsの挙動を変更します。

シグナルの保存先(同意タイプ) 有効にする同意
ad_storage 広告に関連する情報の保存
analytics_storage Google Analyticsに関連する情報の保存
functionality_storage 言語設定などサイトの機能をサポートする情報の保存
personalization_storage おすすめの動画などパーソナライズに関連する情報の保存
security_storage 認証機能、不正行為防止、セキュリティ等に関連する情報の保存

2023年11月にアップデートされた「同意モードv2」では、上記の5つに加えて2つのパラメータが追加されました。広告目的でグーグルにデータを送信するための同意に関する「ad_user_data」、そしてパーソナライズされた広告への同意に関する「ad_personalization」です。

「Google同意モードv2により、グーグルはユーザーの同意がどの範囲または段階まで得られているのかを把握することができます。ユーザーからの必要な同意が得られていることが把握されてはじめて、グーグルがパーソナライズド広告を配信する条件が整います」(データサイン 代表取締役社長 太田祐一)

AIを用いたコンバージョン推定が可能に 

もしユーザーがGoogle同意モードv2におけるいくつかの同意を拒否したならば、コンバージョンをはじめマーケティング活動に有益な行動の計測や分析はできなくなってしまうのでしょうか? 

「クライアントIDやセッションIDを用いてユーザーを特定するトラッキング(追跡)はできなくなりますが、メディア計測の空白を補完するためにコンバージョンモデリングという仕組みが実装されています」(太田)

コンバージョンモデリングは、ブラウザを識別するCookieを使わず、ユーザーによる広告の操作とコンバージョンのつながりを確認、計測するのに役立つ仕組みとされています。AIを利用して通信状況を学習し、コンバージョンを推定します。利用に関しては同意モードまたは 「IAB の透明性と同意に関するフレームワーク(TCF)v2.0」 が正しく実装されていること、などの条件を満たす必要があります。

グーグルによれば、Cookie利用の同意に関するユーザーの選択を尊重しながら、より包括的かつ正確に広告の費用や成果を把握できることが期待されます。

同意管理ツール「webtru」が同意モードv2に対応

データサインが提供する同意管理ツール「webtru」(ウェブトゥルー)も前出の「同意モードv2」に対応しています。この日のランチタイムトークでは、webtruの設定の仕方や設定前後でのブラウザの挙動をデモで実演しました。webtruの同意モードを有効にするかどうかは、webtruを利用するウェブサイト運営側で設定します。

有効にすれば、同意モードv2のモデリング機能を利用することによるプライバシー規制遵守とグーグルのデジタルマーケティングツール活用の両立が可能になります。

欧米市場においてはCookieの使用に関して、ユーザーの明示的な同意を得ることが必要とされるケースが増えていますが、日本市場でもこうした流れを無視できません。データサインでは引き続き、規制に適切に対応するためのソリューションの開発、提供を進めてまいります。